
本市の中学校の部活動は危機的な状況にある。その状況を分析したのでレポートする。見出し画像のとおり、この3年で廃部が相次いでいるほか、野球・サッカー・ソフトボールといったチームも成立しない学校が増えている。
全校の状況を分析してみた

まずは分析表を共有する。
これは、議会の資料照会制度を使って、保健体育課と教育指導課に汗をかいて頂き、本市の部活動の状況を報告してもらったものを元に、集計や生徒数・学級数の情報追加を行って分析したものだ。参考に、提供された元データも共有しておく。
分析表から見えてくるのは、生徒数の減少等に伴って追い込まれた本市の部活の窮状であり、現場の教師の負担の増大である。
チームが組めない……
文化部の場合、人数が減っても成立しないことはないが、運動部にはチームスポーツが多い。野球・ソフトボールはナインが揃わず、サッカーはイレブンが組めなくなってきている。2017年にはそうした部活が8部あったが、2020年には6部に減ったように見える。ただし、馬堀中ではチームが組めなくなった野球部・ソフトボール部が廃部となり、鴨居中ではソフトボール部が廃部、北下浦中では野球部・サッカー部が廃部となっている。このように3年間で6つの運動部が廃部となった。他に文化部の廃部もおそらくあるはずだ。かろうじてチームが成立する部活も2017年の8部から2020年には10部に増えている。
生徒数が3年で1割も減少
背景にあるのは、生徒数の減少だ。2017年に9,922名いた生徒が、2020年には9,117名まで減少している。-805名で8.1%の減少だ。生徒数が減れば、クラス数(普通学級数)も減っていく。クラス数が減れば、配置される教師の数も減る。つまり、部活の担い手となる顧問のなり手が減っていく。
選べる部活が減っていく
部活動数の減少は、生徒から見れば選択肢の減少となる。部活数が最少なのが8つの鷹取中だ。運動部も最少で5つしか選べない。男子は野球・テニス・サッカー・バスケの4種目、女子はテニス・バレー・バスケの3種目という選択肢となるだろうか。
逆に部活の種類数が最多なのは久里浜中で、18もの選択肢がある。大津中・久里浜中・浦賀中といった規模の大きな学校は、潤沢な教員数を背景に多くの部活を提供できている。一方、頑張って部活の種類を維持しているのが北下浦中だ。鷹取中・長井中と並んで1学年2クラス・計6クラスの小規模校でありながら、11もの部活動を維持してきた。クラス担任6名を大幅に超える数だが、維持困難だったと見えて2020年には野球とソフトが廃部となっている。その他も半数以上の13校が、目安となるクラス担任数以上の部活数を維持しており、校長・教頭・級外の教師らも総がかかりで維持してきたのだろう。
教師の負担軽減が急務
教師の負担軽減のためなのかはわからないが、上手にマネジメントしていると思われる学校もある。市内最大の浦賀中はクラス数23を誇るが、部活数は久里浜中よりも少ない15に抑えている。また、田浦中はクラス数12と鷹取中の倍の規模でありながら、部活数は鷹取中と同規模の9に抑えている。「生徒の選択肢を狭めている」という見方もできるが、教師の本業は授業であって、部活は本来ボランティア活動だ。誰が責められようか。
そうでなくても、とりわけ中学校教師の多忙化は尋常ではない。過労死ラインの残業が当たり前のようになっている中では、「教師から部活動を引きはがす」という決意で臨むべきだ。
解決策:部活動を学校から切り離せ。
私は、以前所属した会派・研政の仲間と部活動の外部顧問を雇う制度を提案してきた。予算化もされたが、「外部顧問にも教員免許が必要」などと、よく理解できない運用をしているために拡がっていない。それに、いずれにしても弥縫策だ。
抜本的な解決策は、私が10年前から主張しているように、部活動を学校から切り離すことだ。「部活動の社会化」と言っていい。愛知県半田市成岩中のように、総合型地域スポーツクラブなど地域のクラブチームに部活の役割を担ってもらうのが正解だ。もちろん、施設としては学校開放で学校施設を提供するのが良いだろう。
学校と部活が切り離されれば、チームが組めなくなる問題も起こらない。顧問の先生が異動すると部活が弱くなる問題も起こらない。部活を理由に越境して別の中学校に生徒が行く問題も起こらない。授業が終わったら、放課後には隣の中学校で行われているサッカーチームに通う、といった運用になる。その指導者は、サッカーのコーチ資格を持つ地域の保護者だったりすることになるだろう。ボランティアなので人事異動もない。指導者と肌が合わなければ、別の中学校でやっているクラブチームに通えばいい。アメリカのように、夏は野球、冬はバスケといった具合に季節ごとに複数チームで活動するのもいいだろう。
あのバスケの神様マイケル・ジョーダンは、本当は野球が大好きだったが、冬は野球チームが休みなので参加したバスケで才能を開花させた。複数チームへの参加は、生徒の多様な能力の発掘や交流の幅の広がりをもたらすはずだ。
この解決策は、いかがだろうか? ぜひ気軽にご意見をお寄せ頂きたい。