私の未来像


2025年のヨコスカ物語 illustrated by 正木啓明



そのまちでは、教育に力が注がれています。





小中学校では、少人数学級が実現しています。一人ひとりに目配りできるので、不登校や落ちこぼれ感を味わう生徒が減りました。学校の教育が充実したので、塾に通う生徒も減りました。
部活動の顧問は、退職した企業戦士がマネジメントスキルを活かし、有償ボランティアで引き受けてくれています。先生たちも部活動が切り離され、教育に専念できるようになりました。
中学2年生になると、市内のお店や工場での1週間職業体験があります。そのせいか、最近ではニートも減ってきているようです。



そのまちでは、子育ての環境が整っています。





保育園と幼稚園の垣根はなくなり、定員も増え、働きたい人はいつでも「こども園」に預けることができます。
病児保育も、子育て中や退職した看護婦さんのネットワークから生まれ、充実してきました。
小学生は、放課後の学童保育が楽しみです。仕事を退職した人たちが次々やってきて、色々な仕事の話や実演をしてくれるので、目を輝かせて集まってきます。
公立保育園も公立中学校も完全給食が実現し、子供たちは温かいゴハンに喜び、親御さんはお弁当作りから解放されています。



そのまちでは、高齢者が生活を楽しんでいます。





3人に1人が高齢者ですが、誰も「もう歳だから」なんて言って家に引っ込んではいません。働いたり、カフェで語り合ったり、習い事をしたり、ボランティアをしたり、なんだか忙しそうです。
「老後は都心を離れてゆったり暮らしたい」と、介護型の高級マンションに引っ越してくる方も増えました。
予防医療に力が注がれ、健康寿命が長いまちとしても有名です。
市内の旺盛な消費を引っ張るのも高齢者です。



そのまちでは、車に乗らなくても暮らせます。





高齢者も電車やバスに乗って気軽に駅前に出られます。
大きな駅に出れば歩ける範囲に、気のきいたお店も、役所の窓口もあります。
若い人は便利なレンタサイクルも活用しています。
市街地は、建物の高層化に伴って公開空地を増やしており、のびのび開放的で歩きやすくなっています。



そのまちでは、みどりが守られています。





新しく山を切り崩す住宅開発はできなくなり、新しく住む人は再開発した市街地やリノベーションした中古住宅などに住んでいます。
海ではアマモの復活計画が進んでおり、小さな魚のゆりかごになっています。そのせいか、海の水もきれいになったし、魚も増えた気がします。
コンクリートで固められた平作川などの川も、韓国の清渓川や横浜市栄区のいたち川のように自然再生が進みました。アシが生え、生き物が棲み、子供たちが水辺で遊んでいます。
砂が減っていた海岸も、漁礁にもなる離岸堤によって砂が回復し、海の生き物であふれています。



そのまちでは、働く場所がたくさんあります。





YRPを中心に、通信網で結ばれた企業のサテライトオフィスが増えました。わざわざ東京や横浜まで満員電車に乗って通勤しなくても、住んでる場所の近くで働けるので、生活にゆとりがあります。
横須賀市の地域通貨が流通し、地域経済も活気にあふれています。ボランティアをすると地域通貨で謝礼がもらえたりするので、市民活動も活性化しています。
自然再生の「みどりの公共事業」や保育・介護も雇用を生んでいます。



そのまちでは、いつも音楽が流れています。





音楽のまちとして、日本でも有名です。多くのミュージシャンを輩出し、音楽を愛する人が集まってきます。いつもどこかの街角ではストリートミュージシャンが音を奏でています。
市内の文化施設は、市民団体が運営を任されています。早朝や夜なども使い勝手がよくなったので、練習やコンサートがさかんに行われています。
市内の芸術劇場やホールは、NPOによる音楽専門大学のキャンパスとしても使われています。



そのまちには、多くの人が足を運びます。





首都圏にありながら豊かな自然を残し、都心から電車で1時間程という便のよさもあり、観光客が引きも切りません。
地元の新鮮な魚介類と野菜を使った料理に舌鼓を打ち、帰りにはファーマーズマーケットで素材を買って帰るのも人気です。
市内のリゾートと医療機関が提携した医療ツアーも好評で、海外からの訪問者も増えました。
先進的な取り組みを進めるまちとして取り上げられ、モデル都市になっています。日本全国のまちから視察ツアーがひっきりなしに来ます。



そのまちでは、自分たちのことは自分たちで決めています。





「地域のことは地域でやる。地域でできないことだけ国や県がやる」という地方分権が実現しています。
財源も権限も地域に大きく委ねられています。独自の減税も独自の課税もできます。
地域の裁量が大きくなったので、優秀な人材も地域に戻ってきました。
身近なところでモノゴトが決まるので、みんな自分のまちのことに関心を寄せるようになりました。
そして、これまで以上にこのまちを愛するようになりました。



こんな横須賀市に、暮らしてみたいと思いませんか?  



小林のぶゆきの描く未来像(Vision)





2025年、いつまでも元気で、いざというときに強い、横須賀市をつくる。
(横須賀市の持続可能性と自立)



経済・社会・環境のトリプル・ボトムラインをプラスにし、地域主権の時代にふさわしいガバナンスで未来をつくる。



ガバナンスの持続可能性と自立



国と県に地方分権を求め、財源と権限を横須賀市に明け渡させる。
取り戻した経営資源をしっかりと管理し、
未来像を持って行政経営ができるようにする。



経済の持続可能性と自立



世界情勢や日本の景気に左右されにくい地域経済圏をつくる。
横須賀市でいつまでも商売が繁盛し、働く場があるようにする。



社会の持続可能性と自立



ゆるやかな人口流入があり、世代間のバランスがとれるよう、
ここで子育てがしたい、ここで年をとりたい、と思われるまちにする。



環境の持続可能性と自立



地域の自然の恵みを賢く活用しながら、
横須賀市の豊かな住環境と自然環境をまもり、
次の世代に受け継いでいく。